投稿者:シェフ 小池 2015年09月1日
俊一郎は熟考していた。
いいかげん、横浜に行くべきだと…。
そう、生まれ故郷に…。
自室の冷蔵庫から、氷のかたまりを取り出し、
アイスピックで丸く削る。
こだわりのある男である。
丸くかたどった氷を、ロックグラスに入れた。
『うむ、サイズもちょうどいいな…。』
そこに、そばつゆをいれ、ワサビを溶き、
一気に胃袋にぶち込んだ。
ハードボイルドである。
前回、無銭飲食してしまったことも、
今となっては、いい思い出だ。
『さて、どうしたもんか…。』
♪ピンポーン、ピンポーン♪
『ん?…お、来客か…。』
5階の自室から、エレベーターで1階に行き、
玄関を豪快に開けた。
『どもー。宅配サービスの
ハッピーハッピーでーす。』
そうだった!食材を注文していたのだった。
考えてみたら、朝から何も食べていない。
俊一郎は、キッチンに行き、
大好物のそばをゆで始めた。
長野産の新そばだ。
たっぷりの沸騰したお湯の中で、
麺がまわるようにゆでる。
火加減を調節しつつ、
ゆであがりを見極める。
『今だっ!』
ザルにとって、冷水でざっと洗い、
そのあと、氷水でパリッとしめる。
しめ過ぎは禁物だ!
常温より、やや冷たいくらいが、
そばの香りがたってよい。
『おっと、そば湯もとっとかないとな。』
刻みのりと、すりおろした静岡の生ワサビを
そばに美しく盛り付ける。
『そばつゆを…。』
『ん?そばつゆを用意し…。』
『ん゛ん゛ん゛・・・・・・・。』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー
さっき、飲んじゃった!』
前の日から仕込んで、
寝かせていたそばつゆを、
俊一郎はすでに豪快に飲み干していた。
俊一郎は、ショックで、
おかしくなってしまった。
『あ~、ちょうちょ!
ちょうちょが見えるよ~。
あ~、あ~。』
(逆に佐賀なら、すぐ行けたりして…。byチハル)