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ハードボイルド!~大決闘の巻~

投稿者:  2015年08月27日

俊一郎はひとり、世田谷の自宅近くの

いきつけの寿司屋で、

通ぶって寿司をつまんでいた。

大好物は青物。

特にサバには目がない。

 

『大将、サバ1つ、にぎりで。』

『あいよ!』

 

サバを口に放り込み、

熱々の日本酒で、一気に胃袋にぶちこんだ。

ハードボイルドである。

 

前回、電車で寝過ごしたのも、

今となっては、いい思い出だ。

 

『なぜ横浜にいけないのか…。』

 

俊一郎はひとり、つぶやいた。

 

すると、

『おっ?何だい?

お前さん、浜に行きてーってのか!

明日、仕入れに行くから、乗ってきな!』

『えっ!いいんすか?』

『おー、いいとも!

お前さんがよけりゃあな!』

『いっ、行きます!

ぜひよろしくおねがいします!』

 

そして、早朝。

大将の運転するワンボックスカーで、

横浜を目指した。

 

車はスイスイと玉川を渡り、

川崎を走っていた。

 

『よぉー、お前さん、

川崎の北部市場にも寄ってくからよー。』

『あっ、はい。』

 

そして市場に到着した。

市場はすでに、活気づいていた。

 

『よぉー、お前さん、

おらぁ、仕入してくっから、

ここで待ってな!』

『わかりました。』

 

そう言うと、大将は仕入れに行ってしまった。

 

その時!

車の窓から、『ラーメン』という文字が見えた。

 

俊一郎は、すするのが大好きである。

 

『ちょっと、のぞいてみるか…。』

 

車を降りて、ラーメン屋を見てみる。

醤油・塩・とんこつ、と書いてある。

 

『ふむ、よくあるラーメン屋か…。』

 

メニューを読み進めると、

隅の方に、1つだけ気になるメニューが

書いてあった。

 

『北海の大決闘ラーメン』

 

(…なんだ、これは…。北海の大決闘?)

 

『あのー、すいません。コレ、なんですか?』

『あーん?食ったらわかるじゃん!』

『ふむ、それもそうだ。

じゃ、これ1つ、大盛りで!』

『おっ!きっぷがいいねー!』

 

ラーメン店主に促されるまま、

待つこと5分。

ラーメンがでてきた。

 

『・・・なんだ、コレは・・・。』

 

丼ぶりの中に、丸ごとのタコやイカ、

ウニ、エビ、カニが、これでもか!っていうくらい

乗ったその上に、ホッケの塩焼きが乗っていた。

 

『・・・・・・失敗したーーー。』

 

そもそも、『北海の大決闘』という名前で

気づくべきだった。

 

案の定、半分を過ぎたあたりから、

気持ちが悪くなり、残してしまった。

 

『うぐっ、ぷっ、すいませーん、お勘定ー。』

『あいよー、20,000円!』

『……カード、きれますか?』

『何言ってんだい!うちはラーメン屋だよ?

現金払いだよ!』

『・・・あの、金、ないんすけど・・・。』

『ほぉー、あっそ。ちょっと待ってて…。』

 

5分後、パトカーで連れて行かれる、

俊一郎であった。

 

『あれ?お前さ~ん?どこいった~?

…まっ、いーか。大人なんだし。』

 

その頃、俊一郎はパトカーの中で

号泣していた。

またしても、横浜に行けなかったのである。

 

紫色にかすむ明け方の空に

カラスが飛んでゆく。

俊一郎はひとり、つぶやいた。

『もう、秋が近い…。』

『俊一郎…。なんか、もう、切なくなってきた。』(byエンドー)

『がんばれ!俊一郎!』(byチハル)